顔面多汗症・頭部多汗症

頭と顔の汗がすごい、
顔面多汗症・頭部多汗症
とは?

顔面多汗症

顔面多汗症とは、顔の発汗が過剰になった状態です。周囲温度が高ければ、誰でも額を中心に顔に汗をかきますが、顔面多汗症の人は暑さとは関係なく発汗します。刺激の強い辛い飲食物を摂取したときに鼻の脇や額から汗が噴き出る味覚性発汗とは、病態が異なります。

頭部多汗症

頭部の発汗が過剰になった状態で、周囲温度とは関係なく発汗します。

顔面多汗症・
頭部多汗症の症状

顔面多汗症・頭部多汗症の症状顔面多汗症では主に顔、頭部多汗症では主に頭部に過剰な発汗が見られます。両方を併発する方も少なくありません。
味覚性発汗以外の人間の発汗は「温熱性発汗」と「精神性発汗」に大別され、温熱性発汗では暑さ、精神性発汗では精神的な緊張によって発汗します。
誰でも暑ければ体温調節のために汗をかき、これが温熱性発汗です。発汗部位には、顔や頭部も含まれます。温熱性発汗も亢進してしまうと、温度差が大きいだけでも発汗します。
一方、精神性発汗は、通常はそれほど多く見られません。しかし、顔面多汗症や頭部多汗症は、精神性発汗が亢進した状態です。具体的には、緊張感を自覚していなくても顔面や頭部から多量に発汗し、一度発汗すると止まらない場合も多いようです。

顔面多汗症・
頭部多汗症の原因

交感神経の異常興奮、過剰反応が原因です。精神性発汗と関連が強く、トリガーがあると多量に汗が出てしまいます。
成人後に頭部多汗症を発症した方では、強いストレスによって多汗症が誘発された場合が多いようです。

顔や頭の多汗症に
なりやすい人

顔面多汗症や頭部多汗症になりやすいのは、次の項目に該当する方です。

  • 日頃から、あまり汗をかかない
  • 運動不足である

汗を分泌して体温調節に関与するエクリン腺は、全身のほとんどの部位に広く分布しています。汗腺の衰えは基本的には下半身から進み、普段から運動量の多い顔や頭部は汗腺が衰えにくい部分です。このため、首から下で発汗ができなくなると、その分の汗が顔に集中します。特に、温熱性発汗と違って精神性発汗では、汗として水分と一緒に放出されたミネラル分が汗腺で再吸収される処理が間に合わず、結果的にべたつきやすい汗になります。

顔面多汗症・
頭部多汗症の治療

手掌、足底、腋窩に比べて顔や頭部の皮膚はデリケートであるため、治療には主に次のような方法が採用されます。

  • 塗り薬などの外用薬や内服薬
  • ボトックスを使った治療
  • 選択的ETS

薬物療法

多くの場合、まずは顔や頭部の発汗を抑制する外用薬で経過を観察します。また、エクリン腺を支配する神経からのアセチルコリンの放出を抑制する内服薬を使用します。プロバンサインなどの内服薬は保険適用です。

ボトックス注射

ボツリヌス菌が産生する毒素(製品名はボトックス)を注射して、多汗症を治療する場合もあります。メスによる切開が必要なく、手足や顔の多汗症の治療に用いられる治療法です。毒素と言っても、ボトックスは身体への負担がほとんどなく、従来はシワの改善やわきがの治療を含めて様々な目的で使われています。内服薬と同様にアセチルコリンの放出を阻害します。
※頭部に対するボトックス治療には、原則として保険が適用されません。
ボトックスを使用すると、注射後3~4日で効果が出て、4~9ヶ月ほど持続します。治療に要する時間が短い上にダウンタイムがないため、多忙な方に向いています。また、顔面のたるみが解消されるのも、ボトックス注射の利点の1つです。

選択的ETS

選択的ETS

当院で施行している、交通枝のみを切除するETS(胸腔鏡下胸部交感神経切除術)により顔面の発汗が低下しえます。ただし、手・脇ほどの確実性はありません。約6割程度の患者様は頭部(主に顔面)の発汗量が減少します。第2胸椎(Th2)以上まで切りあがれば、さらに顔面の発汗量低下の効果は大きいですが、同時にホルネル症候群の発生頻度が増します。丁度いいところで切り終わる必要があります。

選択的ETS

ストレスの解消

不規則な生活による自律神経の乱れ、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れも、通常とは異なる発汗を誘発する可能性があるため、生活習慣の見直しも多汗症による発汗を抑える一助になり得ます。
頭部多汗症の方は、汗をかいたら、髪を洗うように心がけましょう。洗髪が不十分だと頭皮の雑菌が増え、臭いの原因にもなり得ます。

顔や頭のひどい汗は
「千葉船橋 痛みと多汗症クリニック」まで

顔や頭のひどい汗は「千葉船橋 痛みと多汗症クリニック」まで顔や頭部の多汗症が、実は重大な疾患を示す徴候である可能性も否定できません。
自分は汗っかきだからと安易に考えず、明らかに発汗量が多いようであれば、医療機関を受診しましょう。
当院では、顔や頭部に限らず、他の部位の多汗症にも対応しています。患者様1人ひとりの希望や悩みに合わせて、多汗症の症状に合う治療法をお伝えいたします。