足底多汗症

足裏の汗はストレス?
足底多汗症(足蹠多汗症)
とは?

足裏の汗はストレス?足底多汗症(足蹠多汗症)とは?足底多汗症とは、足底の発汗が過剰な状態です。足底には汗腺が多く、誰でも普段から若干汗をかきますが、足底多汗症では汗腺の働きが活発になりすぎるため、足の裏が常に湿っています。原因は完全には解明されていませんが、ストレスや遺伝、交感神経の亢進などが関与しているとされています。足底多汗症では、汗が足の臭いの原因になりやすく、足の怪我や不快感を誘発する場合もある上、足裏が濡れていると、水虫の温床になる、滑りやすくなるといった問題も起こり得ます。

足底多汗症の原因

足底多汗症の原因は、手掌多汗症と同じく交感神経の異常興奮です。

神経の異常

交感神経の機能障害によって足底の発汗量が増え、多汗症が発症します。交感神経の興奮は足の血流量を低下させるため、足が冷たい事が多いです。

遺伝的な要因

足底多汗症には家族性があることから、遺伝的な要因もあるとされています。

環境的な要因

緊張する状況や暑いと感じる周囲温度などの環境要因があると、誰でも汗をかきます。多汗症患者様の場合、そういったトリガーがあるとより過剰に反応してしまう傾向にあります。

疾患や薬剤の副作用

甲状腺機能亢進症、腎臓病、糖尿病などの疾患、抗うつ薬などの薬剤による副作用が、多汗症を誘発する場合があります。

足底多汗症の診断

次の項目のうち2つ以上に該当する症例で、発汗テストを実施して診断します。

  1. 発汗に対称性が認められること
  2. 初めて症状が出たのが25歳以下であること
  3. 週に1回以上、多汗のエピソードがあること
  4. 睡眠中は発汗が止まっていること
  5. 家族歴が認められること
  6. それらによって日常生活に影響が出ること

主な発汗テストとして、次に示す定性的測定法と定量的測定法が挙げられます。

定性的測定法

ヨード紙法(汗滴プリント法)

ヨードを加えた紙に触れさせると、発汗部位に対応する部分が黒く変色します。変色の範囲に応じて、重症度を判断します。

Minor法

ヨウ素溶液を身体に塗布し、乾燥後に粉末でんぷんを振りかけます。黒紫色に変色した範囲を計測し、重症度を判断します。

定量的測定法

重量計測法

ろ紙を付着させたパウダーフリーのビニール手袋を5分間装着し、汗を吸ったろ紙の重量を最初の重量と比較して発汗量を測定します。

換気カプセル法

皮膚を密閉状態のカプセルで覆い、カプセル内にガスを流して汗を蒸発させ、流出するガスの湿度を発汗量として換算します。

足底多汗症が
進行すると臭くなる?

足底多汗症が進行すると臭くなる?足底多汗症が進行すると、足のかゆみや臭い、湿気などが悪化する場合があります。また、湿った状態が続くと足の表皮が傷つきやすく、細菌感染や水虫、爪白癬などの皮膚疾患が生じる可能性も高まります。さらに、足の皮膚がふやける・汗に対するアレルギー反応で皮膚が剥がれるなどの症状がみられます。進行した足底多汗症には、適切な治療が必要です。

足底多汗症の治療

プロバンサイン内服

プロバンサイン内服どの部位の多汗症にも使えるのが、プロバンサインという抗コリン薬を服用する方法です。
便秘や口渇などの副作用が強く、内服継続が困難な場合があります。一回の内服で約3時間程度、効果があります。夏期のみ服用する人もいます。

外用薬

外用薬塩化アルミニウムは正確には薬剤ではなく、化学成分です。そのため処方箋が不要で、市販の制汗剤・制汗クリームなどはほぼ全て塩化アルミニウムが含まれています。皮膚に対する刺激性が強く、接触性皮膚炎が問題になります。

イオントフォレーシス

足に電気を流し、一時的に汗腺を塞ぎます。定期的に行う必要があり、治療を辞めると効果も消失します。健康保険の適用対象です。

ボトックス注射

ボツリヌス菌が産生する物質を足底に注射して、汗腺の機能を一時的に抑制します。
約3~5ヶ月程度、効果が持続します。日本では自費診療になり、また足底は痛覚が発達しているため、痛みを伴います。

腰部交感神経節ブロック(足底多汗症)

腰部交感神経節ブロックレントゲン透視下で、腰椎前面の交感神経節にエタノールを注射します。
この治療はレントゲン設備と、高度な注射技術が必要で、施行施設はかなり少ないです。
効果は1.5~2年程度。足汗を止める効果と、下肢の血流量を改善する効果があります。
足の冷え性も、同時に解消できます。

特徴

  • 局所麻酔で約30分
  • 日帰りで手術が可能
  • 効果が約2年持続

腰部交感神経節ブロック

日常でできる
足裏の汗の対策

治療以外にも、患者様ご自身ができる対策をお伝えします。当院までご相談ください。

ストレスを緩和する?

ストレスによって多汗症になるわけではありません。
ですが、緊張した時に汗をかく(精神性発汗)時に、通常の方より汗の反応が激しいのが多汗症患者様の特徴です。
「ストレスを少なくしましょう」と言うのは簡単ですが、皆それなりの悩みを抱えており、現実的ではありません。治療としても抽象的すぎます。

飲食物に気を付ける

辛い物を食べると汗がでます(味覚性発汗)。これは正常な反応です。
しかし、多汗症患者様の場合、その反応が普通より激しい傾向にあります。
辛い物・熱い物を少なくすることは、発汗量を抑える一助になるかもしれません。

靴下や靴に気を付ける

通気性のある靴下や靴を選び、靴下については一日に2回以上交換できればなお良いでしょう。また、足の先端に余裕がある靴を選ぶようにすれば、汗が吸収されやすくなります。

靴の手入れをする

通気性のある靴を選ぶとともに、吸水性の高い靴下を履くようにすれば、足の蒸れを抑えることができます。

足の手入れをする

足を清潔にして、爪も伸ばしすぎないようにすると、足の臭いを減らせます。しかし、日本人は靴を脱いで家に入る種族です。
床に足跡が付く、他人の家を汚してしまうなどの悩みは常に付きまといます。

‍市販の制汗剤を使用する‍

市販の制汗剤は、つまりは塩化アルミニウムです。効果は限定的と思われます。