多汗症の部位別の症状
(手汗、足汗、脇汗、
顔の汗、頭部の汗)

多汗症について

多汗症について多汗症は、低温や運動をしていないときにも大量の発汗が起こる状態です。気温が高い場合や運動中にはさらに多くの汗が出ます。また、ストレスや不安などの要因も大量の発汗を引き起こすことがあります。
多汗症には、全身の発汗が増える全身性多汗症と、身体の一部の発汗が増える局所性多汗症の二種類があります。局所性多汗症では、頭部、顔面、脇の下、手のひら、足の裏など、特定の部位で症状が現れます。
症状の発生部位によって、悩みの内容や治療方法も異なります。

手掌多汗症(手汗)の症状

手のひらから大量の汗が出ることがあります。症状は、手が湿っている程度からポタポタと汗が滴り落ちるまでさまざまです。この状態では、スマートフォンやキーボード、マウス操作、お箸やナイフとフォーク、ペンなどが汗で濡れて上手に操作できなくなるなど、様々な支障が生じやすくなります。また、湿疹や皮がむけるなどの症状が発生しやすいです。これは汗に対するアレルギー反応です。これがコンプレックスになって握手や手をつなぐことに抵抗を感じたり、性格に影響を与えることもあります。
当院では、根本的な治療として、胸腔鏡を用いた「選択的ETS」の日帰り手術を実施しています。脇の下と胸部を切開して3mmの胸腔鏡を2箇所から挿入し、交通枝だけを離断する手術法です。代償性発汗を最小限にでき、術後すぐに手の異常発汗がおさまります。また、手術痕は3mm程度の傷が2箇所のため傷跡は消えてしまいます。
また、手掌多汗症の患者様は、手が異常に冷たい事があります。これは汗で冷えてしまっているわけではなく、交感神経の異常興奮で、手の血流量が低下しているからです。
選択的ETSにより、手の血流量も正常化します。手が冷たくて困っていた症状も解消されます。

足底多汗症(足汗)の症状

足の裏から大量の汗が出ることがあります。この状態では、床に足跡がつく、パンプスを履きたいのに汗で履けないなどの症状があります。また、靴の中で足が滑ってうまく踏ん張れなくなることがあり、運動に支障をきたすこともあります。さらに、1日中靴を履いたままでいると、靴がかなり湿ってしまい、適切に乾燥させないで続けると臭いの原因になったり、病原菌が繁殖しやすい状態になり、水虫などのリスクが高まります。
当院では足底多汗症に対する腰部交感神経節ブロックの日帰り手術が可能です。レントゲン透視下で腰部交感神経節ブロックを行い、交感神経を変性させることで異常発汗が治まります。
また、足底多汗症の患者様も、足が異常に冷たい事があります。これも足の血流量の低下が原因です。腰部交感神経節ブロックにより、足の血流量も正常化します。

腋窩多汗症(脇汗)の症状

腋窩とは、脇の下の部分を指し、そこから大量の汗が出ることがあります。このため、汗染みができて服の色によって目立つことがあり、洗濯やクリーニングなどにも注意が必要です。腋窩多汗症と「わきが」は異なる疾患ですが、腋窩多汗症にわきがが併発することもあります。
当院では外用薬・ボトックス注射・脇汗の異常発汗を治療する日帰り手術に対応しています。手術の場合は、代償性発汗を可能な限り少なくするために、交通枝のみを切除する「選択的ETS」を行っています。

顔面多汗症(顔の汗)
の症状

顔から大量の汗が出ることがあります。女性の場合、メイクの崩れや前髪など、顔周辺の髪型に関する悩みを抱えることがよくあります。
顔の汗も見た目に目立つため、他人に体調を心配されることもよくあります。
当院では、塗り薬などの外用薬や内服薬、選択的ETS(日帰り手術)による治療に対応しています。
ただし、選択的ETSの顔面多汗症への有効率は6割程度と思われます。
顔面の発汗を減らすためには、胸椎の上の部分(Th2)レベルの分枝切除が必要ですが、あまり攻めすぎると、ホルネル徴候(眼瞼下垂)を引き起こします。
そのあたりは患者様と相談の上、治療方法を提案致します。

頭部多汗症(頭部の汗)
の症状

顔面多汗症・頭部多汗症の症状

頭部から大量の汗が出ることがあります。このため、頭皮や髪の毛が濡れてしまったり、髪から汗が滴り落ちることがあります。汗の量が目につくため、寒い時期などには無用な心配を引き起こすこともあります。さらに、望むヘアスタイルを維持できないという悩みもよく見られます。
当院では、塗り薬などの外用薬や内服薬よる治療が可能です。

頭部多汗症